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腸内フローラ最前線

腸内フローラ最前線 腸が持つ知られざる働きと機能、そして可能性に迫る!!

健康をテーマとするテレビの情報番組や専門の雑誌等でも数々取り上げられ、特集が組まれるほど注目を集めている「腸内フローラ」。
森下仁丹は、「腸内フローラ」と健康とのかかわりあいに早くから着目し、研究をおこなっているバイオベンチャー企業 株式会社メタジェンとの共同開発を行っております。
株式会社メタジェンの代表取締役で研究者でもある福田真嗣先生にご登場いただき、腸が持つ知られざる働きと機能、さらに、腸内フローラ研究がもたらしてくれる可能性について、わかりやすくお話しいただきました。
なぜ今「腸内フローラ」なのか? が、おもしろいほどよくわかります。

福田  真嗣先生のプロフィール

福田  真嗣先生のプロフィール
明治大学在学中より腸内フローラ研究を開始。
2006年に卒業後、理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授(兼任)。
2015年3月最先端科学技術で腸内環境の研究・解析を行うベンチャー「株式会社メタジェン」を設立。
腸内環境の改善から健康長寿社会の創造に取り組む、腸内フローラ研究の第一人者。

腸内フローラ最前線 腸ってすごい! あなたの知らない腸の働き、教えます

腸内で繰り広げられる、細菌たちの生存競争

私は学生期間を含めると、17年くらい腸内細菌叢(さいきんそう)、つまり腸内フローラについての研究を続けています。そこで圧倒されるのは、腸の中に棲む微生物のすごさです。
腸の中にはたくさんの細菌が棲みついていて、細菌のエサ、つまり食べ物が胃で消化され、小腸で吸収されなかったものをせっせと食べて、生存競争を繰り広げています。ヒトの体を構成する体細胞の数は約37兆個と言われていますが、腸内細菌の数は、それよりはるかに多い約100兆個。種類にして数百から一千種類もいる腸内細菌と、小腸・大腸の腸管細胞などが相互に関係し合い、おなかの中にひとつの生態系を形成しています。この腸内生態系が私たちの健康に大きく影響を及ぼすことが、近年の研究でわかってきました。

腸内で繰り広げられる、細菌たちの生存競争

カギは腸で生まれる代謝物質

小腸の主な働きは栄養素の吸収。胃で消化され、粥状になった食べ物が送り込まれ、ここで最終的にたくさんの消化酵素とまざり合い、分解が行われ、その栄養素を腸管の吸収上皮細胞が吸収します。小腸の表面は、絨毛と呼ばれるヒダに覆われていて、その内側はリンパ管や毛細血管につながっています。栄養素はここを通って体内へ吸収され、血管を通して全身へ運ばれます。
その小腸で吸収されなかった水分と未消化物(食物繊維など)は、大腸へと送られていきます。大腸には、小腸の1万倍もの数の腸内細菌が群れをなして待ち構えています。その様子をお花畑に例えて「腸内フローラ」と呼んでいます。酸素を嫌う性質の菌にとって、酸素のない大腸は恰好の棲みか。腸内細菌は、食物繊維などを自分たちのエネルギー源にします。その分解の過程で、様々な物質を作ります。この代謝物質がとても重要なのです。
主な代謝物質は、酢酸や酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸です。それらが腸管上皮細胞から吸収されて血液に取り込まれ、血中に入り全身に送られ、ヒトの健康に密接にかかわっていることがわかってきました。

大切なのは腸内フローラのバランス

腸内細菌がつくり出すものは、酢酸のようによい働きをするものばかりではありません。尿毒症物質などよくない働きをする物質も産生し、同じように腸で吸収されて全身へとめぐります。では、腸内フローラが私たちに有益な状態でいるにはどうしたらよいのでしょう。
研究が進む中でわかってきたのは、腸内フローラは多様性が重要だということです。なにかひとつの菌だけが増えて、一人勝ちの状態になってはいけないのです。
人間社会もいろいろな人がいて成り立っていますね。アクシデントが起きても、誰かが対応して解決に導くことができます。
腸の中も同じこと。アクシデントが起きても対応できるよう、多種多様な細菌たちがバランス良く棲んでいることで、腸内生態系は維持されているのです。

大切なのは腸内フローラのバランス

ヒトの腸内イメージ。
ここにたくさんの細菌が棲みついています。

食べ物の栄養素は、腸で吸収され全身をめぐる!

口腔から肛門まで全長約9mの管でつながっている消化管。口に入れた食べ物は、胃で消化されるなどしばらく消化器官の中にいて、腸にたどりついて初めて、体の中へと吸収されていきます。

食べ物の栄養素は、腸で吸収され全身をめぐる!

メタジェンと森下仁丹の取り組み森下仁丹は、福田真嗣先生が代表取締役を務める「腸内環境をデザインする」をコンセプトにした株式会社メタジェンの最先端技術「メタボロゲノミクス®」を用いて、生きたまま腸に届いたビフィズス菌が、ヒトの腸内環境に与える影響について、その詳細を明らかにする初の共同研究をスタートしました。
将来的には、個人それぞれの腸内フローラに合わせて最適とされるビフィズス菌や乳酸菌、あるいは腸内フローラを改善する有用素材(プレバイオティクスなど)を組み合わせ配合した「オーダーメイドプロバイオティクス」の提供を目指します。